今年は新年から能登半島地震が発生し、最近も各地で豪雨による被害が相次いでいます。被災された皆様へ哀悼の意を表し、一日も早い復興を心よりお祈りいたします。
未曾有の大災害がいつ起こってもおかしくないと言われる昨今、「もしも」に備えることの重要性が高まっています。広島県歯科技工士会でも本会オリジナルの「災害時用即時義歯製作マニュアル」作成と実技実習が必要という声が上がり、今回、それらの実現に向けた試作会を行いました。災害時を想定しており使用できる材料や技工環境にも制限をかけているため、実際に製作したことで気が付く点も多く、マニュアル作成にあたり有意義な時間となりました。
災害発生時の歯科の役割として、中長期的に被災者の口腔内環境を整えることで被災者の健康状態の維持・回復を図り、災害関連死のリスクを抑えることが求められます。特に被災された高齢者の方々にとって、災害時に適切に噛める・喋れる口腔内環境を整えることがフレイルや誤嚥性肺炎の予防となるため、義歯製作や修理などによる早急の口腔内の機能回復は災害関連死のリスクの軽減に大きく寄与します。そのため、歯科技工士が被災地で行う『災害時用即時義歯の製作』が大きな役割を果たしており、避難者や歯科医師からの需要も高いことが近年の調査で明らかになっています。
現在、「災害時用即時義歯製作講習会」の準備を進行中です。有事の際の派遣要請に応えられる体制構築を目的に義歯製作経験の少ない県内の若手歯科技工士をメインの対象としており、定員は20名となっていますので、皆様のご参加を心よりお待ちしております。