カブセ(鋳造冠)はこうしてつくる


ここでは奥歯の金歯(上顎第2大臼歯、全部鋳造冠)のつくりかたを説明します。使用金属はいわゆる金(白金加金)ですが、銀歯(パラジュウム合金etc.)などの金属でも使用材料、器具がことなるだけで基本的には工程は同じです。なお、歯科技工士によって、また歯科医師の指示によってそれぞれの工程、材料、器具は細かいところでことなりますが。あくまで基本的な(よって、ごく一般的な)つくりかたであることをお断りしておきます。( )内は専門用語です。


ここまでには歯科医師により根っこの治療(根管治療)や歯ぐき(歯周)の治療が終わり、歯を削り(形成)、型(印象)と咬みあわせが採られています。

(39枚の写真を使っておりますので少々重いです)

(1) 歯科医師により型(ここではシリコンラバー印象、数マイクロメートル(ミクロン)の精度がある)がとられて歯科技工士に送られてきます。
写真の左下赤い丸がこれから作るカブセの部分(上顎左側第1大臼歯)



(2) 歯科用石膏(ここでは歯科用超硬石膏”硬化膨張が非常に少ない”)を水で練ります。
(真空撹拌器)で真空にしながら気泡の無いように練ります。


(3) バイブレーターを使用して型(印象)に流します
咬みあわせの相手になる下顎も流します


(4) 後で必要な部分を切り出す時のためにピンを立てます


(5) 1時間以上たって石膏が固まったらピンの周りに回り止めの溝を掘ります


(6) カブセを作る部分に石膏分離材を塗ります。ここでは水ガラスを使用


(7) この上に盛る、石膏を練ります(ここでは歯科用硬石膏)


(8) 石膏を盛ります


(9) また固まるまで1時間くらい待ちます


(10) 型から取りだし、模型トリマーという道具で周りの余分な石膏を削ります


(11) 削り終わった石膏模型。赤い丸の部分がカブセを作る部分


(12) 歯科医師によって採られた、咬み合わせを見るためのワックスを咬まして、
相手の模型(ここでは下顎対合歯模型)と固定する


(13) 石膏で、顎を模した器具(咬合器)に取り付ける。
またこの石膏が固まるまで1時間以上待つ。
咬合器と模型は磁石で固定されているので取り外せる


(14) カブセを作る部分を切り出す


(15) 切り出したところ


(16) 切り出した部分の余分な部分を(技工用エンジンで)削る


(17) 余分な部分を削ったところ。
歯科医師によって歯を削った部分と、根っこの部分の境がよく見えるようにする。
ここが一番大事


(18) 石膏硬化剤を塗って石膏模型が痛まないようにする


(19) ワックス


(20) ワックス分離材を塗った後、ワックスを盛っていく。
ここでは赤色と緑色の2種類のワックスを使用


(21) ワックスで、出来上がりのカブセとまったく同じものを作ったところ


(22) それに、溶かした金属の通り道になる直径2mmのワックスを焼き付ける


(23) ゴム枠(円錐台)に焼き付ける


(24) 金属の筒(リング)と、熔けた金属が固まる時に収縮する(凝固収縮)のを補償する
(その分だけあらかじめ埋没材を膨張させておくための緩衝材)
ために筒の中に張るセラミック製の紙(セラミックリボン)これは燃えない


(25) こんなようになる。炉に入れたときゴムの部分とワックス部分が空洞になるのでここに金属が入る


(26) この筒の中に入れる埋没材を練る(ここではクリストバライト埋没材、金属の凝固収縮を補償するため粉と水を正確に計量する)


(27) 埋没材を水と一緒に真空撹拌して筒の中に流す


(28) 埋没材が固まったらゴム枠をはずして700℃の電気炉の中に入れてワックスを焼却する。
同時に埋没材も金属の凝固収縮分だけ膨張する


(29) 700℃で30分くらい置いてから、使用する金属を1000℃前後で溶かす。
ここでは都市ガスと圧搾空気を使用


(30) スプリングを利用した鋳造機で、溶かした金属を遠心力を利用して鋳込む。
ゴム枠が有った部分から流し込む


(31) 室温にまで冷えたら掘り出す


(32) 鋳造したものを酸にいれて超音波洗浄器で表面の酸化膜を取る


(33) 酸化膜を取った状態の、研磨する前のカブセ


(34) 余分なところを切り取る


(35) 模型上でこの赤い紙(咬合紙)で高い部分を調べてから、削って咬み合わせを調整する。
また隣の歯との接触の具合も調整する(強すぎても弱すぎてもいけない)


(36) その後、きれいに研磨する


(37) 研磨の途中。まだ艶が出ていない


(38) 研磨に使用する器具、左から順に使用してきれいな艶を出す(他に研磨剤を併用する)


(39) 研磨が終わって完成したカブセ(全部鋳造冠)
20〜50マイクロメートル(マイクロメートル=1/1000mm)くらいの精度で作られます

この後、歯科医師の手により口のなかで最終的な咬みあわせなどの調整が行われた後、歯科用セメントで固定されます。


いかがでしたか? おおかたの人の口のなかに入っていると思いますが、このような工程で作っています。しっかり歯磨きして大事にしてくださいね。カブセでも歯磨きを怠ると根っこの部分から虫歯になったり歯槽膿漏になりますよ。